面疔(めんちょう)とニキビ、鼻せつとの違いは？抗生物質入りの軟膏で対処できるの？

見た目が似て非なる皮膚トラブルの違い

顔や鼻の周りに赤く腫れたできものができると、多くの人は「またニキビができた」と軽く考えがちです。

しかし、見た目が似ているこれらの腫れの中には、全く異なる深刻な皮膚疾患である面疔（めんちょう）が隠れている場合があります。

この二つを正確に見分けることは、適切な対処と早期の治癒のために非常に重要です。

一般的なニキビ（尋常性ざ瘡）は、主に皮脂の過剰分泌と毛穴の詰まり、
そしてアクネ菌の増殖によって発生します。

初期段階ではコメドとして現れ、炎症を起こしても比較的痛みが軽度で、
触っても強い熱感がないことが多いのが特徴です。

思春期から成人にかけてよく見られる、ごく一般的な肌のトラブルと言えます。

 

一方、面疔は、黄色ブドウ球菌などの細菌感染によって毛包全体に強い炎症が起こる疾患です。
特に鼻の入り口やその周囲にできるものは「鼻せつ」とも呼ばれ、
この部分は皮脂腺が集中し細菌が繁殖しやすい環境にあります。

この面疔の最も大きな特徴は、その進行の速さと激しい症状です。
小さな赤みから短期間で硬く盛り上がり、ズキズキとした強い痛みや熱感を伴い、
内部に膿を溜めることもあります。

 

このニキビと面疔を見誤って、誤った自己処理を行うと症状を劇的に悪化させかねません。

特に面疔の腫れは、自分で潰そうとすると、感染が周囲の組織や深部に広がり、
まれに重篤な合併症を引き起こすリスクすらあります。

 

自己判断で「いつものニキビだろう」と放置したり、市販のニキビ薬を使ったりせず、
腫れや痛みが激しい場合はすぐに皮膚科を受診し、専門的な治療を受けることが必要です。

この深刻な面疔を見逃さないよう、慎重な対応が求められます。

 

症状に応じた外用薬の役割と注意点

顔や鼻の周りに腫れや痛みを伴う皮膚トラブルが現れると、
多くの人は手軽に入手できる市販薬で対処しようと考えます。

しかし、軽い炎症であるニキビと、細菌感染による重度の炎症である
面疔（めんちょう）とでは、市販薬での対応の適切さが大きく異なります。

 

ニキビ（尋常性ざ瘡）の場合、初期の炎症であれば、抗炎症成分や殺菌成分を含む
市販のニキビ薬で症状の悪化を防ぎ、鎮静化を図る効果が期待できます。

特に初期段階のニキビに対しては、適切な外用薬が非常に有効です。

 

一方で、面疔に対しては慎重な対応が必要です。
面疔は、黄色ブドウ球菌などによる毛包の重篤な細菌感染症であり、
進行が速く、炎症が深部に及びやすいという特徴があります。

市販の抗生物質入り軟膏は、原因菌の活動を抑える効果が期待されますが、
自己判断で使うタイミングや塗布方法を誤ると、効果が得られないばかりか、
かえって症状を長引かせてしまう原因にもなりかねません。

 

強い痛みが増す、硬く大きく腫れるなど、症状が進行した面疔に対しては、
市販の外用薬だけでは不十分です。

特に顔の中央部にできる面疔や鼻せつなどは、まれに深刻な合併症に
つながるリスクがあるため、早期の専門的な治療が極めて重要となります。

 

自己判断で「いつものニキビ」だと決めつけず、腫れや痛みが激しい場合は、
面疔の可能性を疑い、すぐに皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けることが、
悪化を防ぐ最も確実な方法です。